『ヘタをするとタイホ!?零細事業者向け!労務管理の知らなきゃやばい話』第1回

全国の清掃会社の経営者の方が集まる「日本を磨く会」様が
毎月発行している会報誌の記事を執筆させていただきました。

▼日本を磨く会様のウェブサイトです。
https://migaku-kai.jp/

労務管理について小さな会社が知っておきたいポイントを
全8回のシリーズでまとめています。
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『ヘタをするとタイホ!?零細事業者向け!労務管理の知らなきゃやばい話』第1回

こんにちは。会社の萬屋 企画改善請負本舗の奥田美幸と申します。過去に、『おさえておきたい!小さな会社の採用成功のヒケツ!』や『お客様に選ばれるために小さな会社のやらなきゃいけないこと・7か条』といったテーマで連載させていただき、すでにお見知りおきの方もいらっしゃるかもしれません。

私は、採用や人材育成、集客のお手伝いをはじめ、中小零細企業(=小さな会社)におけるさまざまな分野のよろず相談を受けています。
「お店の売上を何とかして増やしたいんだけど…」
「自分(社長)の話をちゃんと理解して実行できる人を育てたいんだけど…」
「うちの娘に、将来うちの会社のオーナーになってって代わりに言ってくれない?」
など、そのご相談内容は多岐にわたります。このように、小さな会社の社長のお困りごとを解決するお手伝いを行なっています。

今回から『ヘタをするとタイホ!?零細事業者向け!労務管理の知らなきゃやばい話』というタイトルの」連載が始まります。ご存知の方も多いと思いますが、「労務管理」とは、求人・採用から始まり人材育成、評価、賃金、労働時間の管理などといった企業が従業員に対して行なう全ての管理業務の総称です。小さな会社でも知っておくべき労務管理について、労働・社会保険の専門家である社会保険労務士とは異なる目線でご紹介していきます。

ここ最近、最低賃金が毎年平均約3%ずつ上昇しており、雇用するためにかかる人件費が増え、雇う側の負担が増してきています。

また、人を雇用することのリスクが上がっていると感じます。雇用の管理をするだけでなく、労働者の管理の面で、雇う側が責任を取らされている事例をよく聞きます。その背景には、ICT化により人間に求められる能力が高まっている状況の中で、自身がその求められる能力に達していないことで職場の業務を負担に思う人が増え、うつになる人が増加傾向にあります。コロナ禍で対面コミュニケーションが減ったことから、精神に悪影響を及ぼしていることもあるようです。雇う側が従業員一人ひとりのメンタル面まで気を遣わないといけない状況となってきています。

さらに、少し前にテレビでも良く取り沙汰されていましたが、若いアルバイト社員が冷蔵庫に入り込んでいたり、食洗器に足を入れていたりする写真をTwitterであげたりする行為がネット上で炎上し、「バカッター」と呼ばれた事件をご存知でしょうか。その結果閉店にまで追い込まれたお店も多数ありました。このようにSNSですぐに情報が拡散されることの危険性も増え、小さな会社でさえコンプライアンスをきちんと守らなければなりません。コンプライアンスをきちんと守ろうとすると、何らかの形でコスト・アップすることなります。

クライアントである飲食店で、会社の実情に合わせた就業規則をゼロから作ることになりました。先代から事業を引き継いだ現社長は“自分もそうだったから”という理由で、店舗の営業時間は社員がきっちり働くのが当たり前と考え、違法的な労働時間でも時給分を払っていれば問題ないと考えていました。

他のクライアントである製菓店のオーナーは、修行中に勤めていたお店で始発から終電まで働かされていた上、“日給を払えば全く問題ない”と残業代(時間外労働の割増賃金)を払う意思がないことを伝えられたそうです。今でも根強い業界の常識として残っており、昨年に同業界のある中堅企業が残業代の未払いで送検された事例もありました。

あるクライアントから、20年近く前に作ったままとなっていた就業規則の見直しをご依頼いただくことになりました。月給制の場合は、基本給と諸手当の合計額を一ヶ月の所定労働時間数で割った金額を「基礎賃金」といい、割増賃金の種類によって決まっている倍率を掛けたものが残業代として支給されます。給与制度で定めた「手当」のうち、基本的には毎月決まった金額を支給するものは「基礎賃金」に含まれます。このクライアント様が残業時間の超過のため労働基準監督署に呼ばれた際に、その計算式を確認してもらうと、「基礎賃金」に入れるべき「手当」のうちのある項目を計算に入れていなかったことがわかり、残業代の調整金額を遡って支給することになりました。社長いわく、長年担当している社会保険労務士さえも先代から何十年も続いていたこの誤りを特に指摘せずにいました。

このようなご依頼業務の関係で、何度か労働基準監督署に訪問する機会がありました。訪問すると面談スペースに通されるのですが、パーテーション越しに隣の方々が話している声が聞こえてきます。
「就業規則って何ですか?」
「タイムカード…、それってつけないとダメなんですか?」
「賃金台帳、私は見たことないけど、うちにもあるのかしら?」
など、従業員が10人以上にもかかわらず、就業規則さえ作成していない、タイムカードさえきちんとない、賃金台帳の存在すら知らない事業者も多数いることがわかりました。

先述のクライアント様の残業代の遡及支給のように、知らないからそのままにしていたというのは、何か起きてしまってからでは通用しない場合も多いでしょう。「知らなかった」では済まされないのです。労働基準監督署でお話を伺ったりした経験から、そのようなことをきちんと理解している事業者が少ないように感じています。

今回のシリーズでは、次のようなテーマについてご紹介していきます。

先述の事例の通り、残業代の割増賃金や最低賃金の計算など、賃金に関しては後から遡及するとなると、かなりの痛手になる会社も多いです。知り合いのある運送業の会社は、計算方法に誤りがあり見直しを図りましたが、遡及金額が払えず、結果として倒産に追い込まれてしまいました。賃金について知っておくべきルールについて、次回ご紹介します。

それ以降の回では、

「アルバイト・パート社員の労務管理」
アルバイトやパートでも当たり前ですが、きちんとルールを守らないといけません。労働時間や法定福利などの正社員とアルバイトの違いなどについて確認していきます。

「健康管理義務の把握」
先ほどご紹介したうつ患者の増加に関連して、「健康管理義務」で会社が責任をとらなければならないケースが増えているようです。問題を未然に防ぐためにもきちんと把握しておきましょう。

「外国人雇用の留意点」
人手不足により外国人を雇用する会社も増えているかと思います。従業員として働いてもらう際に、会社として確認すべき点をおさえておくことが重要です。

「個人事業主の扱い」
労働基準監督署が「雇用」と判断されると遡って雇用の扱いを保償しなくてはなりません。安易な業務委託契約には注意が必要です。さらに、個人事業主の場合、来年から始まる「インボイス制度」の対象になることが多いため、それに関しておさえておくべきポイントもご紹介します。

いずれのテーマも知っておいて損はない内容となっているかと思います。労務管理といっても、単純に法律だけ知っていれば良い、手続きの方法さえ知っていれば良いというわけではありません。次回から始める本シリーズで、自社に当てはまる点がないか確認してみてください。ぜひご期待ください!

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