『おさえておきたい!小さな会社の採用成功のヒケツ!』第11回

全国の清掃会社の経営者の方が集まる「日本を磨く会」様が
毎月発行している会報誌の記事を執筆させていただきました。

▼日本を磨く会様のウェブサイトです。
https://migaku-kai.jp/

採用を行なう際に小さな会社が知っておきたいポイントを
全12回のシリーズでまとめています。
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『おさえておきたい!小さな会社の採用成功のヒケツ!』
シリーズ(3)「面接編」

・第11回:「良い職場」と印象付ける、意識するべき重要ポイント

前回の第10回では『「この職場で働きたい!」と思わせる面接の心得』と題して、面接は
応募者がこちらを良い働き場所として選ぶ場であり、その場において応募者をやる気にさ
せるために、面接における舞台設定や台本準備の重要性を説明しました。続く第11回は舞
台に出演する役者について説明していきます。

多くの会社で実際に面接する担当者は、経営者の皆さまが務められるケースが多いかと
思いますが、急なスケジュールの変更などにより、別の従業員に対応をお願いすることもあ
るかもしれません。勤続年数が長く、現場作業の面では信頼のおける方かもしれませんが、
その担当者の方が面接の場における役者としての適性が高いとは限りません。面接はお芝
居なのですから受け手の印象が良くなる選択肢を優先するのが望ましいです。受け手の印
象が良くなるのは、「今後も一緒に働く機会の多い明るい人物」です。お芝居の主役は、こ
の「ネアカのやり手現場担当者」です。

この「ネアカのやり手現場担当者」は、「抜けるようにネアカな方か、いないなら、訓練
してネアカな方のように振る舞える方」だと、よく師匠の市川は表現しています。仮に「ネ
アカな方」がいないのであれば、練習してそうなってもらう必要があります。経営者の皆さ
まが、面接を担当されるときも「ネアカな方」のように対応することが大切です。

面接を担当するネアカのやり手現場担当者には、まず、「そうなんだぁ練習」を行なって
もらいます。普段よりキーの高い大きな声で、目下の相手には「そうなんだぁ」、目上の相
手には「そうなんですねぇ」を頻繁に相槌として言う練習です。相槌の際には相手の目をみ
て、にこやかに言ってから頷くことが大事です。面接のために準備した台本を使って、実際
の面接を想定した練習をすれば面接のロープレにもなります。面接で応募者に聞く質問を
問いかけ、その回答に「そうなんだぁ」、「そうなんですねぇ」と相槌を打ちます。一言感想
などを付け加えてから、また次の質問をするというやり取りを繰り返します。相槌以外の会
話を行なう部分でも、キーの高い声、目線、表情などがきちんと良い印象を与えるものにな
っているか、練習相手に確認してもらいましょう。これを意識せずにできるぐらいに、特訓
してもらいます。

面接の際に、もう一つ意識すると良いのが「ラポール」です。「ラポール」とは、相手に
対して、この人を受け入れても良いという「承諾」や「許容」をしている状態のことで、「権
威性」と「親近感」の要素から成り立っています。「権威性」とは、特定分野に関してこの
人は詳しくて信頼できると思わせること。「親近感」は、相手に親しみやすさを感じさせる
ことです。権威性を持っていると親近感を感じないのではと疑問に思う方もいるかもしれ
ませんが、権威性は、最終的に信頼感の問題ですので、親近感と矛盾することはありません。

ラポールを形成するためには、「権威性」と「親近感」が重要な要素になっていると説明
しましたが、それを表現する材料として「外見」や「所作」があります。たとえば、普段の
作業着で面接の場に臨むなどして、「外見」から「親近感」を持ってもらいやすくすること
も考えられます。「権威性」の要素を伝えるために、筆記具には万年筆を使うなどもありま
す。他にも、「相手が笑ったら、こちらも笑う」、「相手が飲み物を飲んだら、こちらも飲む」
など、相手のしぐさや表情に合わせた状態を作ることを「ミラーリング」と言います。好意
を持ってもらうテクニックとして聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。「権
威性」と「親近感」を会社の社風に合わせたバランスで行なうのが大切です。

それ以外にも、相手の声の調子やスピード、ボリュームなどを合わせたり、例え話などを
相手の興味や知識に近いものを選んだりするなどの方法があります。なかでも、以前お話し
たターゲットの原理と組み合わせて、ターゲットのレベルに合わせた用語を使って話すこ
とを意識してみるのがお勧めです。

面接では、相手の言うことを「承認」してあげることが、最大の動機付けになります。自
分を認めてくれる人とそれにまつわる物事に、人間は好感を持つものです。コストも掛けず、
最高の印象を作る方法ですからやらない手はありません。

たとえば、面接の中の就業ルールの説明で、「遅刻しないように就業ルールは守って下さ
い」とぶっきらぼうに言われると、当り前のことでも不快に感じます。けれども、「●●さ
んは、ご高齢の御家族もいて、家事も大変でしょうが、●●さんに清掃してもらうのをクラ
イアントの○○様が待っているので、遅刻はやはりダメですね」と言われたら、嬉しくなる
人は多いでしょう。こうした台詞を笑顔で言いながら、想定時間内で面接を終えられるよう
に、ネアカ現場担当者には面接の特訓をしていただきます。

「そんな大げさな」と思われた経営者の方は、採用の重大さを理解していないかもしれませ
ん。従業員の質はそのまま会社のサービスの質です。ネアカ現場担当者の方もこのような会
話術を一度身につけると、商談の場面でも、さらに大活躍します。面接の場でこのような心
づかいをするだけでも、後の定着率は改善しますが、それをネアカ現場担当者が行なえば効
果倍増です。

主役の準備にめどがついたら、並行して脇役やエキストラの準備も始めます。お芝居です
から、応募者が見る人物全員が脇役やエキストラです。自分がお芝居に参加して演じる必要
があることをこの人々にも理解しておいて貰わねばなりません。採用の方法や時期、面接担
当者の情報を、会社で働く従業員、アルバイト・スタッフはもちろん、事務スタッフにまで、
きちんと周知徹底をしておきましょう。

会社は組織で成り立っています。組織の根本的な強みは“全体力”です。大げさなようです
が、組織全体で応募者に良い印象を与えることができれば、「“ここで働くのも悪くないかも”
な職場」の評価を獲得できます。その積み重ねによって、定着率向上で採用コストは下がり、
自社従業員の業務の質的向上により会社のサービスレベルはメキメキと上がっていくので
す。

1年ほど前からスタートした『おさえておきたい!小さな会社の採用成功のヒケツ!』シ
リーズも、次回でとうとう最終回です。一般的な採用フローでは、面接を元に合否判断を行
ない、入社可否を決める場合が多いかと思います。応募書類や面接でしっかり判断し、良い
方が採用できれば良いですが、採用した後に数か月も経たずに辞めてしまうこともあるか
もしれません。せっかく応募受付や面接、入社後の研修などを対応したのに、戦力化する前
に辞めてしまったら、今までかけてきたコストが全て無駄になってしまいます。

そこで、次回第12回では、入社後のミスマッチをなるべく減らし、会社で長く働いてく
れる人材の採用を実現するために、「業務体験」を取り入れた採用フローを考えてみます。
少々面倒だと感じるかもしれませんが、「業務体験」の導入をおススメする根拠や導入した
後のメリットについて考えていきます。

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