『おさえておきたい!小さな会社の採用成功のヒケツ!』第10回

全国の清掃会社の経営者の方が集まる「日本を磨く会」様が
毎月発行している会報誌の記事を執筆させていただきました。

▼日本を磨く会様のウェブサイトです。
https://migaku-kai.jp/

採用を行なう際に小さな会社が知っておきたいポイントを
全12回のシリーズでまとめています。
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『おさえておきたい!小さな会社の採用成功のヒケツ!』

シリーズ(3)「面接編」

・第10回:「この職場で働きたい!」と思わせる面接の心得

前回の第9回は、シリーズ(3)「面接編」の第一弾として「会社の印象を引き出す魅力的
な応対の作り方」と題し、会社への印象が形成される電話対応から面接のプロセスに共通す
る大切な心掛けについてお話しました。第 10 回の今回からはいよいよ応募者が実際に来社
して行なう面接の場面の心得について説明していきます。

応募受付から面接までに、応募者の情報がかなり把握できていて、以前説明した応募者が
必ず満たさねばならないマスト要件の多くは確認が取れている状態で行なうのがあるべき
面接です。逆に言うと、マスト要件が満たされている応募者は何か重大な支障がない限り、
会社としては受け容れるということです。

面接で行なわなければならないことは、大きく分けると、(1)マスト要件の最終チェック、
(2)ワント要件の充足度合いのチェック、(3)就労条件などの説明と調整、そして、(4)応募
者に「この職場で是非働きたい」と思わせること(=動機付け)の4項目です。

以前「採用プロセスにおける「動機付け」要素と「選抜」要素の割合」について、応募や
書類選考などなるべく早い段階でマスト要件、ワント要件の順に確認する「選抜」は済ませ
てしまい、面接の段階では、そのほとんどの時間を「動機付け」のために費やすことが必要
であると説明しました。

そのため、4 項目について、次のように対応するのが望ましいです。(1)は確認事項に過
ぎません。(2)も、あればより望ましい事柄の有無を知るだけです。(3)は必須の手続きです
が、機械的にできますし、本来、求人広告の細かい文字で書かれている事柄の確認と詳細説
明に過ぎません。もっとも大事なのは(4)です。

(4)の動機付けを考えるとき、例えば、「人から認められるようになりたい」、「役に立って
いる実感が欲しい」とか「もっと色々なことができるようになりたい」など、本人も意識し
ていないさまざまなニーズをまず想定した上で、個別の応募者のニーズを想像しながら、自
社で働くことの魅力を伝える必要があります。面接の際に、丁寧な清掃サービスを提供して
お客様から褒められた社員やリピートでご依頼を受けた社員のエピソードを活き活きと語
ることで、「承認」や「達成」、「成長」といった応募者のニーズを満たすことができる、魅
力的な職場であると思わせることができるのです。

また、それ以前に、恒常的に人手不足に悩まされている会社では、面接はこちらが応募者
を選ぶ場である以上に、応募者がこちらを良い働き場所として選ぶ場であると心得るべき
です。多くの会社にとって、面接は応募者をやる気にさせるために行なう、舞台も道具立て
も役者も入念に準備されたお芝居であるのです。

お芝居ですから台本がまず必要です。先述の 4 項目を効率的に行なえる細かなステップ
まで決めた台本を作っておき、そのロープレを念入りに行なっておく必要があります。来社
した際に何と声を掛けるか、面接の中で、何をどういう風に伝えるかなど、動機付けをする
ことを意識して細かいところまで決めておき、実際の面接の際に空で言えるように覚えて
おくことも大切です。台本は基本パターンをまず用意しておく必要がありますが、役者であ
る面接担当者がアドリブを繰り出せるぐらいに慣れないうちは、最低でも応募者のタイプ
別台本、可能なら応募者別台本も、基本パターンを修正して用意した方が間違いありません。

舞台装置の準備も非常に大切です。たとえば、面接場所が自社の事務室脇の小さな従業員
休憩室を兼ねた場所だったとします。前回、「最初に示された特性が記憶(印象)にのこりや
すく、後の評価に大きな影響を与える」という「初頭効果」について言及しました。第一印
象がその後も変わりにくいという原理が働く中、最初のインターフォン越しのぶっきらぼ
うな声や、ドアを開けた後の中の薄暗い階段などは、応募者にとってはそのまま、これから
働く「職場の悪印象」そのものになってしまいます。

インターフォンの応答から、廊下ですれ違う従業員までもが応募者に良い印象を与える
ように“仕組む”べきです。応募者の視界に入る社内の内装や設備も、華美に飾り立てる必要
はありませんが、きちんと手を掛けて“こぎれい”にしておくことが大事です。壁紙のはがれ
や汚れは修復する。階段の蹴上げ(段のこと)の汚れもきれいに取っておく。壁の貼り紙も
古く傷んだものは廃棄する。切れかけた蛍光灯は替える。廊下や階段だけでも留意ポイント
はたくさんあります。

さらに面談の部屋では見栄えにもっと気を配る必要があります。椅子やテーブルの傷み
をなくしておく。雑然と置かれたものがないようにする。床にはものが落ちていず、埃やゴ
ミがないようにする。清掃業界のプロの皆さまに言うに及ばないことですが、有名な5Sの
最初の3つ、整理・整頓・清掃を徹底的に行なう必要があります。

「ありのままの職場を最初から見てもらう方が良い」と、このような準備の手を抜こうとす
る経営者がいます。しかし、その後数十年生活を共にする相手とのお見合いの席に、ジャー
ジで来る人間はいません。「働きたい」と思われる職場は演出するものなのです。

ここまで、応募者が実際に来社して行なう面接のお話をしてきましたが、最近ではオンラ
イン Web 会議システムを使ったウェブ面接の実施も増えてきています。実際に来社して実
施する面接と同様、清潔感のある場所で実施することが望ましいです。打ち合わせなどでは、
自分のデスクに向かったままウェブ会議に参加する人も中にはいるようですが、例えば、後
ろの方の書類の山になったデスクが映っていると、「職場の悪印象」を残してしまいます。
来社の場合と異なり、見える情報が限られているからこそ、余計に悪目立ちしかねません。
自分にとってはいつもの風景だからと気にならないかもしれませんが、応募者に良い印象
を与えているかどうかぜひ確認してみてください。

他にも、オンライン Web 会議システムの中には、背景を設定し、後ろを隠すことができ
るものもあります。リモート業務の場合に自宅を見られたくないという理由で、背景を設定
する方が多いようですが、会社にいる方が背景を設定すると、あまり整理がされていない職
場なのかと疑われてしまうかもしれません。応募者に与える印象を想定した上で、使用の可
否を判断することをおススメします。

また、オンライン Web 会議システムでの面接を行なう際に重要なのが、これも当たり前
ですが、音声が聞こえることや画面がきちんと映ることを確認しておきましょう。せっかく
応募者に面接の時間を調整してもらっている中、音声の不調を直すのに手間取ってしまう
とやはり印象はよくありません。ウェブでの対応の場合も、面接の場はお芝居と捉えて入念
に準備しておきましょう。

今回は、実際に来社して行なう面接の場面での心得についてお話しました。次回は、面接
官だけでなく、組織全体で応募者に「良い職場」と印象づけるために意識するべきポイント
について説明していきます。

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